COACH
COACH Ginza
2025
私自身アーティストとして、アイデンティティや自分らしさについて考えることがよくありますが、自分の中にも様々な矛盾した感覚があると感じます。この壁画は、その矛盾を否定するのではなく、肯定する「自由」をテーマにしています。 制作にあたり、Coachの歴史をリサーチする中で、初期から個々の自立を支えてきたブランドの姿勢を、現在の東京において多様な価値観やバックグラウンドを超えて自分らしくいられる自由へと再解釈したいと思いました。
壁画にはデザイナーのスケッチから着想を得た人々の姿や、Coachのアイコニックなモチーフ、自由の女神からインスピレーションを得た松明や星を取り入れています。また、Coachが生まれたNYのブルックリンブリッジの街灯と、銀座のアーク灯。二つの都市を照らした歴史的な光を描きました。
この階段の壁画は、全体像を正面ではない他の角度からしか見ることができません。それは私たちの様々な顔を切り取って見るのと同じ感覚で、そのどれもが自分であり、そのどれもを肯定できる自由をイメージして、モチーフの配置にこだわりました。完全な全体像を把握できないこと、断片的にしか理解できないこと、アイデンティティはそういうものなのかなと思います。 どんなバッグを持ったり、何を着るのか、どこで遊んだり、誰と働くのか。それは小さなことに見えるかもしれません。でもそれは、どんな世界で生きたいかを表明する行為でもあると思います。 自分らしくいられること、選択できること、矛盾を抱えたままでいいと思えること。そういう小さな自由の積み重ねが、良い世界を作っていくのかなと考えます。